【コラム企画第2弾】
導入後が本番!
MerQuriusを“使いこなす”ための運用ポイントとは?

2024年に配信した「食の安心・安全コラム」では、MerQuriusを導入する前の品質保証業務のあるべき姿について、大手食品メーカーの品質保証責任者様をアドバイザーとしてお迎えし、全9回にわたりご紹介しました。今回のコラムでは、MerQuriusを導入した後に、どのように運用すれば業務効率の向上につながるのかについて取り上げております。「導入したものの具体的な運用・活用方法が分からない」「他社の運用事例を知りたい」といったお声にお応えし、運用のポイントや工夫について、アドバイザーの視点から分かりやすく解説いただきました。

 

第3回:「他システム連携」編

掲載日:2025年11月26日

ここがポイント

  • 二重入力入力ミス防止による業務効率化
  • 連携の現実的な課題と運用の工夫

他システム連携の考え方

JFEシステムズ(以下、JFE):第2回目のコラムでは、MerQuriusを導入した後のカスタマイズに対する考え方についてお話を伺いましたが、今回では、MerQuriusの活用方法(他システム連携)に対するお考え方についてお聞かせいただけますでしょうか? 

アドバイザー

他システムとの連携には、大きく分けて2つの考え方があります。1つ目は、基幹系システムとの連携。2つ目は、ナレッジの活用・蓄積を目的とした連携です。

 第3回目では、基幹系システムとの連携についてご説明します。 

基幹系システム(販売・物流・生産)との連携

アドバイザー

 基幹系システムとは、原料購買、生産管理、物流管理、販売管理など、事業活動の根幹を支える重要なシステムです。通常、これらのシステムに情報を登録するタイミングは、商品仕様がある程度確定し、原料購買先や生産拠点が決まる、生産開始の約23カ月前です。一方、MerQuriusに登録するタイミングは、新規原料を登録しパッケージに記載する原材料名を作成する前であり、基幹システム側に原料、配合、商品情報を登録するより早いタイミングとなります。そのため、MerQuriusの情報を基幹システムに連携することで、二重入力の削減入力ミス防止といった大きなメリットが得られます。 

 

<システムに情報を登録するタイミング>

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ただし、連携には慎重さが必要です。
MerQuriusと基幹系システムの連携を検討する際には、相当な覚悟が求められます。具体的には、基幹システムを見直すタイミングでMerQuriusを導入し、システム全体を再構築するレベルの検討が必要です。その理由は以下の通りです。

  • 担当部署の違い
    基幹システムを理解している部署とMerQuriusを理解している部署が異なるため、各項目の意味を正しく理解することが難しい。
  • 項目の呼称の違い
    商品名ひとつをとっても、「品名」「正式品名」「名称」など複数の呼び方があり、どの項目を連携すべきか判断が難しい。
  • 管理単位の違い
    MerQuriusではパッケージ表示単位で商品を管理しますが、基幹システムではプライベートコードやJANコード単位で管理されるため、1対1の対応ができない。


まずは、MerQuriusで商品の品質情報を管理することはどういうことか、管理項目の意味を理解したうえで、基幹システムとの連携を検討することをお勧めします。

JFE:基幹システムは事業にとって重要な仕組みであり、連携は慎重に進める必要があることを理解しました。しかし、【二重入力や二重管理の削減、登録ミス防止】というメリットは非常に大きいと思います。では、いつ連携を開始することが望ましいでしょうか。

アドバイザー

最もお勧めなのは、基幹システムの更新やバージョンアップのタイミングです。なぜなら、情報連携にはMerQurius側だけでなく、受け側の基幹システムの改修も必要だからです。
そのうえで、まずは販売・物流システムとの連携を検討し、次に生産系システムとの連携へと進める方法が望ましいです。

販売・物流システムとの連携

MerQuriusが管理している商品情報と基幹系システムが管理している商品情報は「N:1の関係」になっている場合が多いため、情報を送るタイミングは、自動インターフェース(I/F)ではなく、有効期限を設定し、必要なタイミングで人が連携します。

また、基幹系システムで必要とされる商品情報の項目は、MerQuriusで管理している項目より多いため、項目数を合わせる必要があります。

例えば、MerQuriusでは、商品単価情報は不要ですが、基幹系システムでは必要となるため、c側で追加項目を設け、入力画面を作成し、入力チェックを行ったうえで送信するといったイメージとなります。

運用を考慮し、MerQuriusで商品情報として入力する項目と、受け側の基幹システムで、商品情報を追加する項目を検討する必要があります。

特に注意すべき点は、情報が二重管理や混在(テレコ)しないように、一方のシステムからのみ入力するルールを設けることです。なお、商品情報を入力する部署は、MerQuriusと基幹系システムの両方で同じ場合が多いため、運用効率を考えると、MerQuriusで基幹系システムに必要な情報も入力する方式をお勧めします。

生産システムとの連携

MerQuriusには、原材料名を作成する機能があり、原料情報と配合情報が必ず格納されています。この情報を生産系システムに連携することで、生産時の二重入力防止や入力ミス削減が可能になります。
ただし、販売・物流システムとの連携と異なる点は、MerQuriusで管理する原料・配合情報と、生産系システムの情報が1:NやN:Nの関係になることが多い点です。

  • MerQuriusでは、「砂糖」は10kgでも20kgでも同じ扱いですが、生産系システムでは容量ごとに別物として管理します。
  • MerQuriusの配合情報はどの工場でも同じ構成ですが、生産系システムでは工場ごとに異なる場合があります。
項目MerQurius生産系システム
原料名砂糖砂糖10kg、砂糖20kg、砂糖30kg
管理単位原料名で一括管理容量ごとに別品目として管理
配合情報共通のレシピ構成工場ごとに異なるレシピ構成

 

このため、100%の完全連携は現実的ではなく、原料のみ連携するなど工夫が必要です。
また、MerQurius Netを活用すれば、原料品質規格書から購入先や荷姿情報など、生産系システムに必要な情報を取得できます。
さらに、MerQurius側で必要な項目を追加すれば、原料連携は可能です。

 

一方、配合情報については、MerQuriusの入力項目だけでは生産に必要な情報が不足するため、生産系システム側で補完する必要があります。

  • 生産系システムの配合情報は、包材情報も必要ですが、MerQurius側では不要です。
  • 生産系システム側では、投入量という概念が必要ですが(製品を100kg作るのに必要な各原料の使用量)、MerQurius側では配合割合のみが必要となります。


生産系システムとの連携を考える場合、MerQuriusで包材を管理することもお勧めします。
原料と包材は同じ部署で管理することが多く、原料はMerQuriusで発番、包材は生産系システムで発番する運用では、利用者にとって負担が大きくなります。
さらに、包材情報を商品と連携すれば、商品側から包材の品質情報を検索・閲覧できるようになり、利便性が向上します。

JFE:ご説明ありがとうございました。最後に包材管理についてお話がございましたが、弊社では、2025年8月末にMerQurius Net包材規格書サービスを新たにリリースいたしました。

従来サービスのノウハウを活かした、食品メーカーと包材メーカー間の包材規格書授受を支援するクラウドサービスです。
食品メーカーはインターネットを利用して包材メーカーからの包材規格書情報を「共通フォーマット」で迅速かつ効率的に受け取ることが可能となります。
また、MerQuriusソリューションの商品DBと包材規格書情報を紐づけることでデータ活用領域が大幅に拡大し、品質情報の統合管理を実現いたします。是非、以下ご紹介ページをご覧ください。

◆「MerQurius Net 包材規格書サービス」ご紹介ページ
   https://www.merqurius2002.com/service/houzai

 

本コラムアドバイザーの経歴

大手食品メーカーにて研究開発、品質保証責任者を歴任。長年に渡って、同社のMerQuriusの社内運用にご尽力をいただいており、今では同社の情報系の重要な中核システムとして全社でご活用を頂いております。2011年には、第1回食品表示検定・上級にも合格されており、現在は後進の育成にご尽力されています。

前回は以下からご覧いただけます。

2024年掲載「食の安心・安全コラム」全9回
~20年来のMerQuriusユーザーが語る品質保証業務のあるべき姿とは?~
はこちらからご覧いただけます。
https://www.merqurius2002.com/food_safety_security1

 

JFEシステムズでは、品質保証部門の課題解決に関するセミナーを定期開催しております。
多くの食品メーカーで実際にどのようにMerQuriusを活用されているのか、事例等もご紹介しております。ぜひご参加ください。

※「MerQurius」は、JFEシステムズ株式会社の登録商標です。その他の記載されている製品名は各社の登録商標または商標です。

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