【コラム企画第2弾】
導入後が本番!
MerQuriusを“使いこなす”ための運用ポイントとは?

2024年に配信した「食の安心・安全コラム」では、MerQuriusを導入する前の品質保証業務のあるべき姿について、大手食品メーカーの品質保証責任者様をアドバイザーとしてお迎えし、全9回にわたりご紹介しました。今回のコラムでは、MerQuriusを導入した後に、どのように運用すれば業務効率の向上につながるのかについて取り上げております。「導入したものの具体的な運用・活用方法が分からない」「他社の運用事例を知りたい」といったお声にお応えし、運用のポイントや工夫について、アドバイザーの視点から分かりやすく解説いただきました。

 

第2回:「カスタマイズの考え方」編

掲載日:2025年9月30日

ここがポイント

  • カスタマイズは可能な限り最小限に留めることが基本方針
    (本当に必要な機能なのかを見極めることが重要)

カスタマイズは最小限に

JFEシステムズ(以下、JFE):第1回目のコラムでは、MerQuriusを導入した後の体制面についてお話を伺いましたが、今回では、カスタマイズに対するお考え方についてお聞かせいただけますでしょうか?

アドバイザー

MerQuriusを新規に導入する際は、カスタマイズは可能な限り最小限に留めることが基本方針だと考えています。

 

MerQuriusはすでに多くの食品メーカーで導入されており、品質情報を担保するために必要な項目や帳票は標準で用意されています。それでも、導入時に「必要な項目が足りない」と感じることもあるかもしれませんが、実際にはカスタマイズを行わずに運用している企業の事例やお声を参考にすることで、解決できるケースが多くあります。

 

ある程度システムを使用してみなければ、その機能が本当に必要かどうかをユーザーが判断するのは難しいものです。現在の業務において「必要だ」と感じる機能であっても、業務の進め方を見直すことで、実は不要であると分かるケースも少なくありません。

本当に必要な機能とは何か?

アドバイザー

MerQuriusの導入初期において、運用を円滑に立ち上げるためには、入力業務を担う部門の協力が不可欠です。そのため、入力部門が

 

「この項目がなければ入力できない」
「この帳票がなければ作業効率が著しく低下する、あるいは入力ミスが増える」

 

といった、業務上どうしても必要とされる項目や帳票に限って、カスタマイズの対象とすることが望ましいと考えています。

このようなカスタマイズ対象は企業ごとに異なりますが、たとえば原料、配合、表示などを入力する部門が「この項目がなければ業務が成り立たない」と判断するものが該当します。

段階的なカスタマイズのすすめ

JFE:どのような基準で判断し、カスタマイズを進めていけばよいのでしょうか?

アドバイザー

MerQurius導入後、半年、1年、3年と運用が進むにつれて、自社にとって本当に必要な機能が明確になってきます。多くの項目や帳票が標準で用意されていることを理解した上で、それでもなお必要とされる機能は、自社の競争優位性を支える重要な要素である可能性が高いといえます。

 

そのため、運用が安定し、自社の業務にとって何が必要かが見えてきた段階で、段階的にカスタマイズを行うという考え方をおすすめしています。運用の安定と競争力の強化という観点から、必要なカスタマイズは柔軟に取り入れていくことが重要です。

段階カスタマイズの具体例

アドバイザー

例えば、ワークフローを検討する際には、現行の業務フローをベースに考えるのが一般的ですが、そのフローが本当に最適かどうかを見直すことも非常に重要です。
新規原料登録のワークフローを例にあげると、

kaizen_column2_01

という上記の図の流れが一般的ではないでしょうか。この流れをそのままシステム化すると、1つの申請画面と4つの承認画面が必要となり、4部門による承認フローが構築されます。

 

しかし、実際には①が申請、②が承認、③④が並行して承認、両方の承認を確認して⑤が最終承認する流れとなります。このようなフローの場合、印鑑を除くと入力は①のみとなり、他は承認するだけです。①で申請②③④は書名、⑤は承認とすることで、1つの申請画面と1つの承認画面で実現可能です。

 

さらに、現場では「調達部は内容を確認していない」「品質保証部が差し戻すことがある」といった実態もあるため、運用と承認フローが一致していないケースも多く見受けられます。MerQuriusを活用した新規原料登録では、まず現場の実情に即したフローの見直しから始めることが重要です。(例えば、調達部の承認を省略するという合意形成など)。

 

ワークフローは業務を支援するためのツールであり、MerQuriusのワークフローを活用する最大のメリットは、「いつ」「誰が」承認したかという履歴が確実に残る点にあります。

 

一方で、履歴を残す必要のない連絡(例:登録完了の通知など)については、メールなど他の手段を活用する方が効率的です。また、ワークフローや権限設計は各社の運用に大きく関わるため、導入時にカスタマイズが必要と感じることもあるかもしれませんが、導入初期は画面や帳票と同様に、標準で用意されているものを活用することをおすすめします。

 

  • ワークフローや権限を細かく設定すると、その分だけ画面やタブが増えます。
  • アレルゲンなどの品質情報は毎年のように変更があるため、その際のメンテナンスがとても大変になります。

 

一般的に、1つの部署には担当者・課長・部長といった3階層がありますが、MerQurius上では、1部署につき1つ、もしくは多くても2つの権限で運用することで、カスタマイズを抑えることが可能です。

 

権限によって閲覧可能な情報を制限したり、入力画面を分けたりすることは可能ですが、その分管理が複雑になります。また、組織再編などが発生した際の対応負荷も大きくなるため、権限設定は必要最小限にとどめることを推奨します。

JFE:貴重なお話をありがとうございました。

本コラムアドバイザーの経歴

大手食品メーカーにて研究開発、品質保証責任者を歴任。長年に渡って、同社のMerQuriusの社内運用にご尽力をいただいており、今では同社の情報系の重要な中核システムとして全社でご活用を頂いております。2011年には、第1回食品表示検定・上級にも合格されており、現在は後進の育成にご尽力されています。

2024年掲載「食の安心・安全コラム」全9回
~20年来のMerQuriusユーザーが語る品質保証業務のあるべき姿とは?~
はこちらからご覧いただけます。
https://www.merqurius2002.com/food_safety_security1

 

JFEシステムズでは、品質保証部門の課題解決に関するセミナーを定期開催しております。
多くの食品メーカーで実際にどのようにMerQuriusを活用されているのか、事例等もご紹介しております。ぜひご参加ください。

※「MerQurius」は、JFEシステムズ株式会社の登録商標です。その他の記載されている製品名は各社の登録商標または商標です。

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