【食の安心・安全コラム】
20年来のMerQuriusユーザーが語る
品質保証業務のあるべき姿とは?

品質保証業務はどうあるべきなのか。

食の安心・安全を担保する上で最重要となるこのテーマをJFEシステムズは20年以上にわたり、多くの食品メーカー様と一緒に考えてまいりました。

本コラムでは、長年MerQuriusをお使いいただいている大手食品メーカーの品質保証責任者様をアドバイザーとしてお迎えし、全9回にわたって、品質保証業務のあるべき姿を解説していただきました。

第8回:得意先向け商品カルテ編

掲載日:2024年8月27日

ここがポイント

  • 得意先向け商品カルテは複数回提出が求められるが、必要以上の変更を行わないことが重要
  • 人手による転記、集計作業から脱却する仕組みの構築が必要

得意先向け商品カルテの作成・提出プロセス

FEシステムズ(以下、JFE):いよいよ本コラムも残り2回となりました。今回は「得意先向け商品カルテ※編」です。前回は、商品情報の管理までお話をお伺いしましたが、得意先向けに商品カルテを提出する業務について教えていただけますでしょうか。

※得意先向け商品カルテ:得意先に向けて提出する自社の商品情報をまとめた規格書

アドバイザー

商品カルテは、アレルゲン追加など法改正の影響を受けるため、書式のメンテナンスが必要です。そのため、 得意先に商品カルテを一度提出して終わりではなく、法改正などのタイミングがあると複数回提出を要求されることが一般的です。 したがって、以前に提出した情報を保管し、次回の提出時には必要以上の変更を行わないことが重要です(変更点を説明できるように管理することが必要)。
上記のような対策、管理をするために以下の仕組みが必要です。 前回のコラムでは、商品と原料の版管理についてお話しましたが、商品カルテを作成する際にはどの商品を提出したか管理することが重要です。

 

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例えば、2019年1月にカルテを作成する場合、商品Aの2版に関連付けられた原料情報を使用してカルテを作成します。
2022年1月にカルテの再提出が求められる場合、商品Aの3版で再提出することになります。したがって、商品Aの2版と商品Aの3版で原材料が変わる場合、再提出が求められる前に変更情報を通知することが一般的です。

 

どのタイミングで変更内容を得意先に連絡すべきか判断が難しい場合が多く、各社のノウハウに依存していますが、アレルギー表示の変更などの大きな変更に関しては連絡する必要があります。その場合、商品Aのバージョンではなく商品Bとして取り扱うことが一般的です。

 

現実的には、商品情報は時間とともに変更されることがありますが、販売先に迷惑をかけないためには、どの変更が問題となるのかを管理することが重要です。原料に関連するアレルゲン、添加物、産地だけでなく、商品に関連する栄養成分なども管理し、変更がある場合にはどのように対応するかを判断する必要があります。判断は難しいものとなりますが、予めパターン(例:配合率を書くパターン、原料詳細情報を書くパターン、原料の産地を書くパターン等)を決めておくことで、カルテ作成時の対応が容易となります。

 

JFE:ありがとうございます。社内で管理する原料、商品情報がどのように紐づいているのか、最新の情報か、どこまで詳細に商品情報を開示するのかといった点は、商品カルテを作成する際にも大きく関わってくるということですね。

得意先の数が増えると負荷は倍増

アドバイザー

さらに大変なのは、上記の作業を得意先の数だけ行わなければならないということです。

得意先ごとに書式が存在するため、項目や記入ルールも書式ごとにバラバラになっています。そのため、同じ商品であっても得意先の書式ごとにイチから転記を行う必要があります。その転記も単純なコピー&ペーストではありません。転記先の項目名が異なる場合は、どこに転記すべきかを考えながら転記を行うといった、複雑な作業が必要になるため、業務・精神的に大きな負荷がかかっています。もちろん、転記によるヒューマンエラーも発生いたします。

JFE:転記作業が複雑で、ミスが無いよう確認作業も必要になると思います。相当な業務負荷になっていると理解できました。では、 MerQuriusではどのような管理になるのでしょうか。

アドバイザー

商品カルテからは以下の情報を出力することができます。

 

  • 食品メーカー標準の商品情報(各メーカーによって異なるが、自社製品案内時に使用される標準情報)
  • お客様向け書式に対応した商品情報
  • システムで定義される品質規格書の内容(Webカルテ:FDB、アルカナム、MerQurius Netなどの規格書)

 

機能面では、原材料明細の記載レベル(1次/2次/5次)に応じて、表示名ベースでの使用原材料明細を生成する機能も装備されています。(配合ベースも生成可能)そのため、ミスの温床となる集計作業・転記作業無しで使用原材料明細を作成することができ、業務・精神的な負荷が軽減されます。

 

また、カルテの生成・出力履歴を自動的に採取し、管理する機能も備えています。商品カルテを生成するたびに、その履歴がシステム内に記録されるため、いつ、だれが、どこに対して、どのような内容のカルテを生成したかが把握できます。そのため、確認作業も容易になります。

JFE:ありがとうございます。まだまだ商品カルテにおいて便利な機能がございますので、詳細については、以下セミナーの「得意先向け商品カルテ」編をご視聴いただけますと幸いです。

 

【常時開催】品質保証部門の課題解決 30分Webセミナー
https://www.merqurius2002.com/seminar/30minuts

 

第8回にわたって品質保証業務のあるべき姿を解説させていただきました。
最終回は本コラムのまとめとして「これからの品質保証業務のあるべき姿」をテーマとして掲載させていただきます。最後までご覧いただけますと幸いです。

本コラムアドバイザーの経歴

大手食品メーカーにて研究開発、品質保証責任者を歴任。長年に渡って、同社のMerQuriusの社内運用にご尽力をいただいており、今では同社の情報系の重要な中核システムとして全社でご活用を頂いております。2011年には、第1回食品表示検定・上級にも合格されており、現在は後進の育成にご尽力されています。

前回は以下からご覧いただけます。

次回は以下からご覧いただけます。

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