食品法規コラム

本コラムでは、中央法規出版 株式会社 食品表示コンシェルジュ様より食品法規に関しておさえておくべきポイントを解説していただきます。


皆様、こんにちは。食品表示コンシェルジュ(中央法規出版)です。
令和8年度の幕開けとともに、「食品表示基準」の改正が公布されました。昨年3/28の改正と合わせ、大きな改正が一旦完結します。もちろん、関連する消費者庁次長通知およびQ&Aも改正されています。
今回の改正は、「食物アレルギー表示の対象追加」や、昨年からの続きである、食品表示の複雑さを解消するための「個別品目ごとの表示ルールの見直し」など、食品業界にとって非常に影響の大きい内容となっています。
本号では、食品表示基準やQ&Aの改正に基づき、事業者の皆様が早急に押さえておくべき主要な変更点を3つのポイントに分けて詳しく解説いたします。

【重要】
令和8年4月1日施行!「食品表示基準」改正の重要ポイント

掲載日:2026年5月26日

1.食物アレルギー表示の対象品目の変更

アレルギー表示の追加削除については、「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」を踏まえて消費者庁で審議が行われ、制度を改正する」というプロセスを踏みます。今回はカシューナッツ、ピスタチオが表示改正の対象になりました。

(1)「カシューナッツ」が特定原材料(義務表示)へ追加

これまで「特定原材料に準ずるもの」(推奨表示)であったカシューナッツが、表示義務のある「特定原材料」へ格上げされ、義務表示品目は全9品目となりました。製品の原材料に使用している場合や、原材料由来の添加物に含まれる場合は、原則として“カシューナッツを含む旨”の表示が必要となります。
義務表示9品目:えび、カシューナッツ(←推奨から格上げ)、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)

(2)「ピスタチオ」が特定原材料に準ずるもの(推奨表示)へ追加
アレルギー表示を推奨する「特定原材料に準ずるもの」にピスタチオが追加され、推奨品目は20品目(義務と合わせて合計29品目)となりました。
推奨表示20品目:アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ(←新規追加)、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン


【経過措置期間】
カシューナッツに係る改正の経過措置が設定されました。改版等の対応を行うための猶予期間は、公布日から2年間(令和10年3月31日まで)とされています。なお、ピスタチオの表示はそもそも義務ではないため、経過措置の設定ありませんが、速やかに対応することが求められます。

2.個別品目ごとの表示ルールの見直し

旧JAS法および旧食品衛生法に由来する個別ルールについて、横断的な表示基準ですでに代替可能なものや、時代に合わなくなった規定を中心に統廃合・整理が行われました。

(1)旧JAS法由来ルールの主な変更点

  • ドレッシング類:「ノンオイルドレッシング」の用語はこれまで表示禁止事項とされていましたが、一般に認知されてきた状況を踏まえ、新たに定義に追加することで、一括表示の「名称」として使用が可能になりました。
  • 食用植物油脂:名称と原材料名が重複しがちであった規定が見直され、原材料に「食用〇〇油」と表示する個別義務が廃止されました。これにより、横断ルールに沿った表示が可能となります。
    例)原料油購入の場合:「なたね油」 自社搾油の場合:「なたね」
  • 果実飲料:多数の国産柑橘類を使用する場合、収穫時期によって種類や重量が変動する事情を考慮し、Q&Aにて「柑橘類」とまとめて表示できることが明確化されました。これに伴い、従来の「その他」を用いる表示規定は廃止されています。


※なお、伝統的な製法であることを明示する乾めん類の「手延べ」表示など、消費者にとって有益であると考えられる一部の表示ルールは維持されています。

各品⽬ごとの分科会における検討結果の概要

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出典:「第81回 食品表示部会(【資料2】 食品表示基準の一部改正について:令和8年1⽉:P11~12)消費者庁⾷品表⽰課」(内閣府)
https://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/syokuhinhyouji/doc/260206_shiryou2.pdf)を加工して作成

(2)旧食品衛生法由来ルールの主な変更点
食中毒防止などの衛生上不可欠な事項は維持され、横断ルール等で代替できるものは廃止されました。なお、監視の観点から必要と考えられる事項は維持とされています。
例)非加熱食肉製品である旨、乳製品の飲食に供する際に加熱する旨、ボツリヌス菌対策の要冷蔵である旨 など

【経過措置期間】
個別品目の表示ルールにかかる改正において、改版等の対応を行うために設定された猶予期間は、約4年間とされています。
昨年(令和7年)改正された個別品目の表示ルールと合わせて令和12年3月31日までに改正後の基準に対応しなければなりません。

3.Q&A・次長通知におけるその他の注目事項

(1)冷凍食品の「凍結前加熱の有無」表示の改善
従前は一括表示枠内に記載されることがありましたが、消費者にとって「加熱調理の必要性」との違いが分かりにくいという指摘がありました。今回の改正により、「冷凍食品である旨の表示に近接した場所」かつ一括表示枠外に記載することが望ましいと示されました。

(2)ソーセージ等の可食性ケーシング(皮)の原材料表示
羊腸などの可食性ケーシングは飲食に供されるため、原材料表示を行うこととされました。ただし、家畜の腸のばらつき等によって重量順の表示が難しい場合に限り、例外として原材料名の最後(添加物を示すスラッシュの前)に表示しても差し支えない旨がQ&Aに追記されています。

まとめと今後の対応

今回の「食品表示基準」改正は、食物アレルギー対象品目の追加から、細かな個別ルールの見直しまで多岐にわたります。経過措置期間は設けられていますが、アレルギー表示(約2年)と個別ルールの見直し(約4年)で期限が異なる点に注意が必要です。

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