食品品質情報管理 MerQurius導入事例

日新化工株式会社様

作成者: JMT|Sep 29, 2026, 6:26:57 AM

日新化工株式会社について

日新化工株式会社について教えてください。

日新化工株式会社は、チョコレートを中心とする製菓素材メーカーです。
製菓・製パン企業向けに原材料としてのチョコレートを提供しています。一部小売用チョコレートの製造・販売も行っています。
年商102億円、従業員数173名、設立1948年(昭和23年)

*この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。


チョコレート原料など2000点以上の商品情報をMerQuriusで統合管理

日新化工でのMerQuriusの導入状況を教えてください。

日新化工では全社の原材料、包材、商品に関する情報を統合管理するために、MerQuriusを採用しました。MerQurius導入についての計画
は以前からあったものの、経営陣への説明、現場社員の説得に長い時間がかかりました。本日はその試行錯誤を中心にお話いたします。
今回導入したMerQurius製品の内容は次の通りです。

・Mercrius : 原料・包材情報の管理、商品情報の登録、管理
・Quebel    :  配合の管理、原材料表示情報の作成、管理
・MerQurius Net 原料規格書サービス : 原料規格書の収集
・MerQurius Net 包材規格書サービス : 包材規格書の収集

日新化工は食品業界向けに、主に「原材料としてのチョコレート」を納入している企業です。コンビニやスーパーに並んでいるお菓子やケーキ、
パン、アイスクリーム、あるいは旅先で買う土産のお菓子など、もしそこにチョコレートが入っていたら、それは日新化工の製品かもしれません。
ちょっと変わったところでは、ウエディングケーキの白いクリーム以外の、色とりどりの花やリボンの形をした「食べられる装飾部分」、またチーズ入りおかきの中身の「チーズ状の部分」、そこでもチョコレートの製造技術を応用した日新化工の製品が使われていることがあります。

チョコレート原料はこのように多彩な分野で使われているため、管理対象となる商品・原料の点数も数多くなります。現在MerQuriusにより約2000点の商品情報、約3000点の原料・包材情報、約250社分の原料サプライヤ情報を管理しています。
弊社の年商の8割は、顧客である食品企業から依頼を受け新たに開発・量産する「特注品」です。時にはお客様から「食べてくちどけが良く、だけど手で触ってもベタつかず、夏でも溶けない、そんなチョコレートを作ってほしい」など難しい依頼も寄せられます。すべての要望を満たすのは簡単ではありませんが、少しでも近づけるよう試作を繰り返します。毎年、開発する約200種弱の新商品の裏にはその何倍もの試作品が隠れています。

【システム概要図】

情報管理の属人性に課題感があった

日新化工がMerQurius導入の検討を開始した経緯を教えてください。

(DX推進室 松本 氏) :
私は現在、経営企画部 DX推進室に所属し、前職IT企業での経験を活かして、業務全体のDX化に取り組んでいます。DXの核心はヒト・モノ・カネ・情報の流れの最大化、効率化、その定着となりますが、当時の日新化工で大きな課題だったのが、商品や原材料の情報を統合管理する仕組みが不十分なことでした。

元々自社でスクラッチ開発した管理システムがありました。しかし統合的な情報管理力や法律改正への対応力の限界は、誰の目にも明らかでした。

業務の「属人化」が進むのも弊害でした。この仕事はこの人ができる、でもこの人しかできない。だけど人をつないで、みんなでがんばれば業務
がまわる、それは一見、素晴らしいことに見えますが、その実、その人がいなくなれば業務が破綻する、そんな危険もありました。

特に規格書づくりの現場では皆が転記に転記を重ねて仕事をこなしていました。その手間、時間、情熱は、もっと企業価値、顧客価値の向上に
つながる本質業務に回すべきではないか、そんな思いもありました。

(資材部 伊東 氏) :
そういえばチョコレートづくりの原材料の輸入調達に関し、今の話を象徴するような事例が過去にありました。

関税条件が変わり、コスト削減のチャンス。しかし...

どんなことがあったのでしょうか。

(資材部 伊東 氏) :
チョコレート製品の主要原料は油脂、カカオ、乳製品ですが、以前はこれら3品を海外で事前に混ぜ合わせて「調整品」を作り、それをシンガポールから輸入していました。普通ならそんなことをすれば加工費や輸送費の分だけコストが嵩みます。しかし関税の効果を考慮すると、それでも調整品を作って輸入する方が結局、コスト安だったのです。

しかしある時期を境に関税の条件が変わり、3品を別々に輸入しても問題なくなりました。それならばそうした方が相当な金額を削減できるわけで、すぐにでもやった方がいい。資材部としてさっそく関連部門に、調整品を個別輸入に切り替えるよう提案しました。

しかしこの案が実現するまでには、相当の社内説得と時間が必要になったのです。

人のがんばりの弱点。業務改善の芽が摘まれている可能性

何が障壁になったのでしょうか。

(資材部 岸 氏) :
原材料情報の変更の手間が障壁になりました。油脂、カカオ、乳製品の3品は基本的な原料なので、もし原材料情報を変更するとなると、最終商品1000点以上にその影響が及びます。この膨大な情報変更を、通常業務のかたわらノーミスで完遂するという仕事は、その実行にあまりに気合が必要で、現場の誰もがひるみました。

結局その時は、緊急増員したうえで皆で協力し、一年以上の時間をかけて力づくで乗り切りました。

(DX推進室 松本 氏) :
今の話は大きな事例ですが、これ以外にも「新たな原料を使えば試作や開発がもっと良くなる可能性がある。しかし原料情報の変更、転記の手間を考えると、つい躊躇してしまう」という例が多々あるようでした。これは情報管理の煩雑さが商品改善の芽を摘んでいる可能性があるということを意味します。先ほどの調整品の話にしても、もっと早期に実現できていれば、コスト削減の効果ももっと早く享受できていたはずです。

やはり新システムを導入し、社内の商品原材料の管理体制を根本的に改善する必要がある。そう考えて、各社の製品を比較検討し、その結果、MerQuriusが、食品業界での導入実績の豊富さ、そして原料調達、試作開発、表示・規格書作成まで統括して管理できるという点において、各製品の中で最も優れているという結論に達しました。さっそく提案書をまとめ、MerQuriusの導入を役員に上申したのですが、この時の提案は、いったん却下されました。

理屈はわかった。でも現場は本当にやる気なのか?

提案が却下された理由は何だったのでしょうか。

(DX推進室 松本 氏) :
その提案は私と開発部の林の二人で役員室に行っておこないました。私は前職のIT企業でなじんだ方法で、パワーポイントを作り込み、論理的にプレゼンしました。

MerQurius導入の意義や効果予測は役員にしっかり伝わったと思います。いや、あるいはそういう理屈など役員はすでに分かり切っていたのかもしれません。とにかくそこに異議は出てこず、「そうだな、そりゃ導入すればコスト削減や業務効率改善、そういう効果は出るだろう。そこに文句はないよ。」という反応でした。

しかし続けて言われました。「でもな、このシステムを使うのは現場の人たちだろう。本当に現場に納得してもらえたのか?みんな本当にやる気なのか?おまえたちの理屈だけじゃ信用できねぇよ。」と。

現場のみなさんにはプレゼンに先立ち、「説明」はしていました。しかし現場の温度感を確認し、それを上げるような努力はしておらず、正直「お知らせ」をしただけでした。役員にはそこを見透かされた格好になりました。

「MerQurius?それで本当に会社がよくなるの?」

ここで開発や品質管理のなど現場部門の皆様にお聞きします。 
当初、経営企画部からMerQurius導入の説明があった時、どんな印象でしたか?

(開発部 尾關 氏) :
MerQuriusを初めて試しに触ったときは「いま使っている社内システムの方がいい。なんだかとっつきにくい」と感じました。配合表示ひとつ取っても、社内システムなら出せる方式が、MerQuriusだと思うように出せませんでした。これで本当に仕事が良くなるのかなと。

またMerQuriusを新たに導入するとなると、ふだんの業務に加え、新たにシステム操作を覚えたり、今あるデータを移行したりなど、作業がさらに追加されます。それだけ手間をかけて、その先にどんな「よい未来」が待っているのか、いま一つ確信が持てませんでした。

(品質管理部 重田 氏) :
私はけっこう楽観派でした。今までは転記が多く、ミスが起きないかヒヤヒヤすることが多かった。でもMerQuriusが入れば、転記がなくなり検索も早くなる。これならお客様である食品会社からの問い合わせにも迅速・確実に答えられるなと。

(品質管理部 青木 氏) :
さきほど「いま使っている社内システムの方がMerQuriusより良いと思った」という話がありましたが、実は私は当時そのシステムの開発に関わった者です。

その立場としてMerQurius導入の計画を聞いたときの第一印象は、「ついに来たか」でした。「旧システムの方が使いやすい」「思い通りの表示ができる」、それはもちろんそうなのです。だって旧システムを作ったときは、それまでの自分たちの仕事のやり方をそのままシステムに反映させたわけで、その意味で「使いやすい」のは当然です。

しかしいくら使いやすくても、正直、仕様面で不十分な点が多々ありました。たとえば原料の原産地ひとつ取っても、旧システムでは「主要三か国とその他」ぐらいの荒い粒度でした。当時はその程度でもよかったのですが、今となっては顧客や消費者が求める情報の精度には追いつけません。それでも問い合わせがあれば、人のがんばりで何とか調べて対応しますが、しかしこんなことをいつまでも続けられない、いつかはしっかりしたシステムを導入して情報管理の水準を引き上げなければならない、その時がついに来たんだな、そう思いました。

MerQuriusユーザーの同業企業を訪問する

再びプロジェクト推進チームにお聞きします。
このような現場の感触を踏まえ、それでもプロジェクトを推進するために、当時何をしましたか?

(生産統括部 兼 開発部 林 氏) :
特別な奇策があったわけでもなく、とにかく現場と顔を合わせて話す頻度を増やしました。各部門と会合を持ち、商品原材料情報を統合管理することの必要性や、それをやれば会社の未来がどう変わるか、どう良くなるのかということを粘り強く説きつづけました。

その他、MerQuriusの既存ユーザーへの訪問も行いました。あるときJFEシステムズ主催のMerQuriusユーザー会に出席したところ、会場にちょうど私たちと同業のチョコレート製造の会社の方がいらっしゃいました。その方をJFEシステムズが紹介してくれて、その場で会話し、そうこうするうちにMerQurius利用の視察に伺うことを快諾してくださいました。この機会を逃さず、現場社員も引き連れてその会社を訪問しました。

それ以外にもJFEシステムズの調整により、大手食品会社の元品質管理部門の方にじっくりお話を聞く機会も得ることができました。

じゃあ、いっそのことみんなで行くか!?

これらユーザー企業への訪問を経験し、現場のみなさんはどう感じましたか?

(品質管理部 畑山 氏) :
実際のユーザーの活用のお話を聞けて、最初苦労があってもそこを乗り越えると最終的にどうなるのかが分かりました。自社に閉じこもっているだけでは見えないことが見えてきて、視野が広がりました。

(開発部 塚田 氏) :
大手企業の方のお話がじっくり聞けたことも、とても勉強になりました。大手企業での品質管理の考え方、標準的な管理手法を詳しく学ぶことができ、自社の方法を見直す契機になりました。

(生産統括部 兼 開発部 林 氏) :
こうして現場の温度感も少しずつ高まってきたところで、ある日、現場部門を管掌する役員から「いっそ現場社員も引き連れて、みんなで社長を説得すればいいじゃないか」と言われました。それを受けてここにいる9人揃って社長室に伺い、再度MerQurius導入を上申することになりました。

現場の意志表明が経営陣説得の決め手に

社長の反応はいかがでしたか?

(生産統括部 兼 開発部 林 氏) :
大量の現場社員が来たことには「え、なんでこんなにたくさん?」と驚かれました(笑)。

最初は私たちプロジェクト推進部門がパワーポイントを使って提案しました。とはいえこれは儀式のようなもの、本当に重要なのは、そのあと現場のみんなの意思表明です。ここに理屈は必要ありません。みなさんにそれぞれ自分の言葉で決意表明してもらいました。

こうして社長の納得を得ることができ、MerQuriusの導入が決定しました。現在は2026年10月の稼働開始に向け、システム導入とデータ移行の作業に取り組んでいます。

現状維持の慣性を動かす「トルク」が必要

現在、MerQuriusの導入を検討している企業に向け、先行ユーザーとしてのアドバイスなどあればお聞かせください。

(DX推進室 松本 氏) :
誰かひとりでも、情熱を持ちたゆまず動き続け、組織を動かそうとする人間、それが絶対に必要です。現場にはどうしても、やり方を変えたくない、今のままでいいという現状維持の慣性がある。それを動かすトルクを出し続ける人、諦めず粘り強く訴え続ける人、それ無しにプロジェクトは前には進まない、今回それを改めて感じました。

日新化工は引き続き「チョコレートを通じて、たくさんの笑顔を」という企業理念に則り、食品メーカーへの良い原料の提供を通じ、消費者のみなさまを笑顔にできる、そんな会社であり続けるべく尽力していきます。JFEシステムズにはそれらの取り組みを、優れた技術、製品、サポートを通じ、継続的に支援いただくことを希望いたします。今後ともよろしくお願いいたします。

- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。